【Spotify誕生を描く】『ザ・プレイリスト』ノンフィクションの原作に基づきフィクションとして描いたスウェーデンドラマは絶品！

ノンフィクションの原作に基づきフィクションとして描いたスウェーデンドラマ『ザ・プレイリスト』はとても楽しめる！

Netflixにて配信中の『ザ・プレイリスト』（原題：The Playlist）は、スウェーデン発Spotifyが、どのようにして音楽ストリーミング分野で世界最大の企業となっていったのか・・・音楽ストリーミングサービス「Spotify」の創業を描く、超おもしろいスタートアップ物語（全6話、1話約50分）。

音楽業界に革命を起こした音楽ストリーミングサービスSpotifyの創業を描いた『ザ・プレイリスト』。

ノンフィクションの原作に基づき、フィクションとして描いた全6話のスウェーデンのミニシリーズだ。

2004年のスウェーデン、ダニエル・エク（エドヴィン・エンドレ）は、プログラマーとしてGoogleの仕事に応募するが、大卒資格がないため断られてしまう。

起業家のダニエル・エクは、プログラマーとしては優秀でチラシやクーポンを閲覧できるサイト「アルバティゴ」を開発し成功を収め、自分のスタートアップを1000万SEK(セック)で売却した後、次の飛躍の一手として音楽業界に目をつける。

2000年代前半は、世界中で、P2P型ファイル共有ソフトや、違法ダウンロードサイトのパイレート・ベイなどの海賊版や違法音楽データの横行による音楽の違法ダウンロードが盛んで、音楽業界はCDの売り上げが落ち深刻な状況に陥っていた。

つまり、この時代は、音楽が無料で手に入ってしまう音楽業界の暗黒時代だった。

そこでダニエル・エクは、合法的なストリーミングプラットフォームを作ればいいのでは・・・と音楽業界に革命を起こすべく、動きだしたのだ。

2006年にダニエル・エクは、合法かつ無料の音楽サービスを開発しようと、起業家のマーティン・ローレンソン（クリスティアン・ヒルボリィ）と共に、ストックホルムで創業し、2008年にサービスを開始したSpotify。

優秀なプログラマー、王立工科大をトップで卒業したダニエルが抜擢するプログラマー・アンドレアス（ヨエル・リュッツォウ：SpotifyのCTO（最高技術責任者）になる）を雇った。

サービスの土台はできつつあったが、音楽著作権の問題がSpotifyの前に大きく立ちはだかる。

著作権側、レコード会社などは「無料」という言葉に激しく抵抗するので、ダニエル・エクの提案を音楽業界が直面する違法ダウンロードの問題解決の提案を好機ととらえて変革に乗り出そうとしない。

そこで、ダニエル・エクは、著作権をめぐる裁判でパイレート・ベイと対立する大手レーベル・スウェーデンのソニー・ミュージック社長、スンディン（ウルフ・ステンバリ）に交渉を持ちかける。

スンディンは、違法ダウンロードに悩まされるなか、ダニエルから無料かつ合法のSpotifyの開発を打診され、違法ダウンロードに対する自分たち音楽業界の頑なな態度が逆効果であることに気づいていく。

・・・

全6話からなるこのドラマは、Spotifyの歴史に関わった重要な人物ごとに1話ずつ構成されており、同じ時系列を異なる人物の目線で追っているのが面白い。

スタートアップを題材とした映画はよくあるが、創業者のみに焦点を当てて描かれていることが多い。

この作品は、全６話で、創業者、レコード会社社長、顧問弁護士、エンジニア、共同創業者、アーティストのそれぞれの視点から描かれており、とても興味深いつくりとなっている。

第1話は、創業者であるダニエル・エクの生い立ちからSpotify創業までを描く。

第2話以降は、レコード会社の社長、顧問弁護士、チーフ・プログラマー、共同創業者と、Spotifyにそれぞれに関わった関係者たちの立場から、Spotifyが世界最大の音楽サービスにのし上がるまでを描いて、Spotify及び音楽業界やIT業界の歴史から現状までさまざまな課題や問題点などを浮き彫りにしていくのだ。

同じ出来事・事象でも立場によって感じ方が変わるので、そこがよい。

著作権問題をクリアすべく駆け回った弁護士や、海賊版サイトよりも便利で、素早く再生させるために奮闘したCTO。

海賊版サイト「パイレート・ベイ」を撲滅すべく裁判中だったスウェーデン・ソニーのスンディンや共同創業者のマルティン・ロレンソンなど、スウェーデンの小さなスタートアップ企業がどんな人たちを味方につけ、世界に進出したのかを掘り下げていく。

そして、このドラマのさらに面白くしているのは、2024年〜2025年という近未来を描いた最終回。

この回だけは、完全なフィクションなのだが、「アーティスト」の目から描かれ、ドラマ制作者が考えた将来に来るかもしれない未来・・・言い換えれば、現在のSpotifyが抱える大きな課題がはっきりと描かれている。

実在の企業、人物を実名で出しているうえに、大胆に踏み込んだ展開になっている。

映画批評サイト「ロッテントマト」のTOMATO-METERが100％ (2023.05現在）となっているのも頷けるほど、率直に視聴していてとても面白い！

Spotifyは、現在、日本を含む184カ国で運営され、従業員数は7400人、年間売り上げは97億ドル（1兆4,000億円）に達するという。

また、Spotifyは、2018年に株式公開し、エクの資産は推定44億ドルというのも驚きだ。

レコード会社は、まちがいなくSpotifyの参入により、業績を好転させ、儲けているといわれる・・・Spotifyが米国に上陸した2011年、音楽配信は6億ドル規模の事業部門であり、レコード業界の年間世界収益の4％に過ぎなかったのだから。

それが、2020年には、音楽配信は134億ドルの売り上げを達成し、レコード業界の収益の62％を構成するまでになった。

同じ年、Spotifyは50億ドルを著作権保有者に支払っているが、その大部分が大手レコード会社であり、そのうちの推定5億ドルが音楽を録音したアーティストにわたっているという。

『ザ・プレイリスト』に関連する動画

The Playlist | Official Teaser | Netflix – YouTube

Playlist | Tráiler oficial | Netflix – YouTube

SPOTIFYの闇？を描くNETFLIX ドラマが面白い！ワケ The Playlist – YouTube

映画批評サイト「ロッテントマト」のTOMATO-METER [🍅100%] (2023.05現在）

Rotten Tomatoes

The Playlist

https://www.rottentomatoes.com/tv/the_playlist

Synopsis:A Swedish tech entrepreneur and his partners set out to revolutionize the music industry with a streaming platform.

映画レビューサイト「IMDb」Internet Movie Databaseの評価 [★7.5] (2023.05現在）

IMDb

The Playlist (TV Mini Series 2022) - IMDb

https://www.imdb.com/title/tt11564258/?ref_=nv_sr_srsg_0_tt_8_nm_0_q_The%20Playlist）

The Playlist: With Christian Hillborg, Gizem Erdogan, Edvin Endre, Severija Janusauskaite. How Swedish tech entrepreneur Daniel Ek and business partner Martin Lorentzon revolutionized the music industry through free and legal music streaming when they launched Spotify.

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