【韓国ドラマ『良くも、悪くも、だって母親』】豚が空を見る唯一の方法は転ぶことだ！＜第１話冒頭ナレーションの言葉の示す意味＞

「豚が空を見る唯一の方法　それは　転ぶこと　そう　転んでこそ　今まで知らなかった新しい世界が見られる　豚も　そして人間も・・・」

4月27日よりNetflixで配信が始まった新作韓国ドラマ『良くも、悪くも、だって母親』（韓原題：『나쁜엄마』英題：『The Good Bad Mother』）をもうご覧になりましたか？

配信されるや否や話題になり、Netflixの「今日のTV番組TOP10」にランクイン。

配信前から豪華キャスト勢揃いで注目されていましたので、これから視聴しようと考えている方も多いのではないでしょうか。

物語は、チン・ヨンスン（ラ・ミラン チン）が夫となるチェ・ヘシク（チョ・ジヌン）にプロポーズされる場面から始まります。

ヘシクは、養豚場を経営しており、可愛い子豚を使ってヨンスンに求婚します。

物語は、ほのぼのとした始まりから一転し、思いもよらない展開を迎えます。

ソウルオリンピックに向けて準備をする中、養豚場の立ち退きを迫る建設会社にヘシクが反発したため、ヨンスンは、夫を亡くすことになります。

妊娠中のヨンスンは新天地に移り、養豚場を経営しながらシングルマザーとして息子のガンホ（イ・ドヒョン チェ）を育てていくことになります。

今回は、話のあらすじではなく、この物語の第１話冒頭のナレーションの言葉が心に残っており、そのことをドラマの内容と重ねて考えてみたいと思います。

第１話冒頭のナレーションでは、ヨンスンは、「豚が空を見る唯一の方法は、転ぶことだ」と述べ、転ぶことによって新しい世界が見えると説明しています。

主人公のガンホは、勉強ばかりで下向きになっていたが、冒頭の子豚のシーンとリンクして「転がる」ことになります。

比喩的に言えば、ここからヨンスンとガンホは、新しい世界を見ることができるでしょう。

ヨンスンは母親として、同じ過ちを繰り返さずに育て直すことができるでしょうか。

ガンホは新しい世界で何を見ることができるのでしょうか。

・・・冒頭のナレーション・・・チン・ヨンスン（ラ・ミラン チン）

 

頭から爪先まで　捨てるところがない動物がいる　何か分かる？

人間　そして豚

豚は汚くて臭い動物だと思われているけれど、実際は違う

豚は、決まった場所で排泄し　清潔な場所で寝る

頻繁に泥浴びして体温を下げ　体の虫を取り除く

だけど人間は　そんな豚を狭い檻に閉じ込める

泥浴びができなくなった豚は　自らの尿やフンで体をこする

そうして徐々に汚くなり　荒々しい性格になった

気の毒よね

・・・

でも本当に気の毒なことは　豚は顔をあげられないから　地面だけを見続けなければならないこと

豚が空を見られる唯一の方法

それは・・

転ぶこと　そう　転んでこそ

今まで知らなかった新しい世界が見られる

豚も　そして人間も

・・・

 

海外ドラマ・トピッキュレーター Thx2u.

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感情共有と思いやり、それらを実現する力、それが「愛」

ヨンスンは、幼い頃から画家になる夢を持っていましたが、両親と弟を交通事故で失った経験から、夢を諦めざるを得ませんでした。

しかし、彼女は生まれつきしっかり者で、毎日｢私は幸せです〜｣という歌詞のように叫びながら、一日一日をしっかりと生きていました。

ある日、ヨンスンは、自分が働く飼料店の常連客である若い豚農場の社長ヘシク（チョ・ジヌン）からプロポーズを受けました。

彼女は、ヘシクと結婚し、豚農場を手伝いながら、可愛い子供を産んで幸せに暮らしたいと思っていましたが、現実はそう甘くありませんでした。

貧しくて力のない人々にとって、世の中は厳しいのです。

ヨンスンは、自分が貧しくて無知で力がなかったからだと考え、お腹の中の子供が立派な裁判官に育つように願い、粘り強く勉強させて、悔しい思いをさせずにこの世を生き抜かせたかったのです。

「無償の愛」とは、一般的に親から子への愛情を指しますが、実際には子供が親を愛する純粋で無条件の愛情の方が、親の愛情以上かもしれません。

例えば、母親が作った料理を捨てた時、主人公のガンホは、心の中で何か大切なものを失ったように感じました。

しかし、それは、彼が既に人間としての真心さえ捨ててしまっていたためかもしれません。

母親から受けた教育が、彼から真心を奪ってしまったのかもしれません。

ヨンスンは、ガンホの成功のためには何よりも大切なことだと考え、ガンホが食事をすることすら許しませんでした。

ガンホの人権や感情を無視して育てられました。

その厳格な子育てのおかげで、ガンホはエリート検事になりましたが、確執によりヨンスンから遠ざかってしまいました。

結婚を機に、ガンホは、世話になった会長のソン・ウビョク（チェ・ムソン）の養子になることを決めました。

そして、ヨンスンに養子の同意書にサインをするよう迫ることになりました。

母親から離れる最後通牒を突きつけるガンホと、喜ぶ母ヨンスンとの間には言葉がありませんでした。

ヨンスンがハンコを押すのを見て、ガンホの眼差しに胸が痛くなりました。

この親子の辛い場面は言葉に表せられないものでした。

感情共有と思いやり、そしてそれらを実現する力、それが「愛」です。

愛について話すと・・初めは、陳腐で抽象的に聞こえるかもしれませんが、現代社会に生きる私たちにとって、愛こそが最も必要なものではないでしょうか。

恋をするときには、生きていると感じますし、愛されるときには、勇気を持てるようになります。

この話は、良くも悪くも母親という存在についてのものです。

母親の愛が物語の中で数多く描かれていきます。

初恋は、運命のように心に残り、苦難の人生を生きる中で息抜きをしてくれました。

ミジュは、愛する人のために全力を尽くします。

片思いのサムシクは、一人だけを見つめます。

里長夫婦や青年会長夫婦は、長年支え合い、固い絆で結ばれています。

チョウ里の人々は、家族のように暖かく寄り添っています。

そして・・・最も普遍的で絶対的な愛、それが母親の子供に対する愛です。

この愛は、唯一無二で、永遠不変の不死鳥のようなものです。

母親は、子供を試練の中でも支え続け、変わらず愛し続けます。

母親から受け取った愛を思い出すことで、今の自分がどれほど愛らしく価値のある存在だったかを思い出すことができます。

この物語である『良くも、悪くも、だって母親』は、厳しい時代に生きる人々に小さな希望を与えることができるように願っています。

それは、倉庫で唯一生き残った母豚がヨンスンに希望を与えたようなものです。

豚が空を見られる唯一の方法・・

それは・・

転ぶこと　そう　転んでこそ

今まで知らなかった新しい世界が見られる・・・

子が転ぶこと、失敗することを避けようとする親心は、よく理解できますが、こうも強く、愛を貫く親心に、切なさと共に尊敬の念すら感じてしまいます。